【元職員が解説】地震をきっかけに考える。もし家が被災したら「固定資産税」はどうなる?

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岡さん

青森・岩手の地震から2週間か……。被災した家の「税金」ってどうなるんだろう?

なおみ

災害はいつ、どこで起きるかわかりません。今回の地震をきっかけに、もしもの時に日本の税制がどう守ってくれるのか、その『仕組み』を知っておくことはとても大切です。

この記事の作者

パジャ丸

こんにちは、パジャ丸(@pajamaru_blog)です。
市役所の資産税課で6年間、固定資産税の相続分野を担当しました。

固定資産税の特にも相続に関する情報は専門性が高く、発信者が限られている分野です。

このブログでは、役所での経験を活かし、相続や固定資産税について、読者の皆さんが必要な知識を得られるよう努めていきます。少しでもお役に立てれば幸いです。

相続、空き家問題や共有不動産でお困りのお友達などにも、ぜひ当ブログ「パジャ丸の相続ガイド」を教えてあげてくださいね。

YouTubeNoteにも積極的に取り組んでいます。一般の方から士業・自治体職員の方まで好評を得ていますので、是非ご覧ください。

正確で信頼性の高い情報を提供するために、徹底的な準備を行っています。

たとえば、「固定資産税実務提要」を購入し、必要な情報を収集・精査しています。この書籍は46,200円と高額で、さらに加除式のため年間88,000円の更新費用がかかりますが、質の高い記事作成のために惜しみなく取り組んでいます。

また、役所に在籍していた頃は、各種セミナーにも意欲的に参加しました。あるセミナーでは研修会場に向かう道中、代々木駅で見かけた講師をつかまえて会場まで質問し、終了後も運営側が苦笑いするほど質問を重ねました。

私も当時を振り返ると、思わず苦笑いしてしまうのは大人になった証拠でしょうか。

なおみ

そうですか?あまり変わっていないかもしれませんね!
あっ、申し遅れました。市役所資産税課のなおみです。
よろしくお願いします。

目次

災害発生時、役所の「税務課」では何が起きているのか

災害が起きたとき、自衛隊や消防が動くのは目に見えますが、役所の「税務課」が何をしているか、想像できる方は少ないかもしれません。

実は、どんな災害であっても、発災直後から税務課の職員はある「共通のミッション」に向けて動き出しています。

表向きは静かでも、水面下では「共通の動き」があります

・被害情報の収集と「罹災(りさい)証明書」の発行準備
・税金を減らす「減免(げんめん)」の検討

災害直後、税務課はまず「情報の整理」に全力を注ぎます。 防災部門から入ってくる被害報告を地図に落とし込み、「どのエリアの家屋調査を優先すべきか」を判断します。これは、被災された方が生活再建のために必要とする「罹災証明書」を、円滑に発行するための準備です。

それと同時に、税金の「減免」の準備も進めます。 「被害の規模はどれくらいか」「条例に基づいてどのような救済ができるか」といった検討を行っているのです。

住民の皆さんが片付けに追われている裏側で、役所はこうした行政手続きの準備を整えています。これは今回の地震に限らず、過去のどの災害でも行われてきた、自治体職員の動きと言えます。

【箸休め】高橋家の会話

えいきち

母さん、防災リュックの中身、賞味期限切れてないか? 今回のニュース見て、改めて点検しとこうと思ってさ。

キク

あら、えいきちったら頼もしい。じゃあついでに、私のへそくりが隠してある場所も確認しておいてくださる? 万が一の時は、それを持って逃げるんですもの。

被災した家の税金が決まる「2つの時間軸」

被災した家の税金が決まる「2つの時間軸」

もし家が被災した場合、固定資産税がどうなるのか。 これを理解するためには、税金を「今年度の話」と「来年度の話」の2つに分けて考える必要があります。

【今年度分】減免されるかどうかは「自治体の条例」で決まる(地方税法第367条)

まず、現在進行形で支払っている「今年度分」の税金についてです。

地方税法第367条には、災害などで生活が困難になった納税者に対して、市町村長が「条例の定めるところにより」税金を減免できるという規定があります。

ここで重要なのは、あくまで「条例」によるという点です。 一般的には、災害発生日以降に到来する納期分を対象とするケースが多く見られますが、具体的な条件は自治体ごとに異なります。

・どの程度の被害(全壊・半壊など)で対象になるか
・いつまでの納期分が対象か
・申請の期限はいつまでか

これらは一律ではありません。 もし被災した場合は、必ずご自身の住む自治体の広報や案内を確認する必要があります。「自動的に安くなる」わけではない、ということを覚えておいてください。

なおみ

固定資産税の減免は下記動画で解説しています。一般的なこととして参考になるかと思います。

出典|YouTubeパジャ丸の相続ガイド

【来年度分】すべては「1月1日」の状態が基準になる(地方税法第359条)

次に、来年の春以降に来る「来年度分」の税金です。

固定資産税には「賦課期日(ふかきじつ)」という絶対的なルールがあります(地方税法第359条)。 これは「毎年1月1日の時点で、そこにどんな資産があるか」で、その年度の税金が決まるというものです。

もし災害で家が壊れ、年を越して1月1日時点でも修理が終わっていない(損壊したまま)であれば、来年度の税金は「1月1日の現況」に基づいて課税されます。 その結果、自治体の調査などによって評価額が見直され、税負担が下がる可能性があります。

家を解体しても土地の税金は守られる?「被災住宅用地の特例」

家を解体しても土地の税金は守られる?「被災住宅用地の特例」

被災地でよく聞かれる悩みに、「家が全壊して危険だから解体したい。でも、更地にすると土地の税金が跳ね上がると聞いた」というものがあります。

確かに平常時であれば、家を取り壊して更地にすると「住宅用地の特例」が外れ、土地の税金は上がります。しかし、災害時には特別な救済措置が用意されています。

「更地にすると税金が上がる」という常識は、災害時には当てはまりません

地方税法第349条の3の3には、「被災住宅用地の特例」という規定があります。

これは簡単に言うと、災害で家がなくなってしまっても、その後一定期間(原則として翌年度・翌々年度など)は、「まだそこに家が建っている」とみなして、土地の税金が急激に上がらないようにする制度です。

ただし、この特例を受けるためには、自治体に対して「申告書」の提出が必要なケースが多くあります(例:東京都など)。 災害に遭った際は、解体を検討すると同時に、役所の窓口やホームページで手続きを確認しましょう。

どの地域でも、どんな災害でも。私たちが備えておくべきこと

どの地域でも、どんな災害でも。私たちが備えておくべきこと

今回解説した「減免」や「特例」を受けるために、あるいは保険金を請求するために、もっとも役に立つのが「客観的な記録」です。

災害が起きて片付けを始める前に、やっておくべきこと。 それは「写真を撮る」ことです。

罹災証明書の申請などで役立つ「片付け前の写真」

一度修理してしまったり、片付けてしまったりすると、役所の調査員が来たときに「被害の程度」を正確に伝えることが難しくなります。 そんな時、ご自身で撮影した写真が、罹災証明書の調査や各種申請において、被害状況を説明する大切な材料になります。

  1. 全景を撮る: 建物の4方向から、傾きや屋根の状態がわかるように。
  2. アップを撮る: 基礎のヒビ、壁の剥がれ、浸水の跡など。
  3. 日付を残す: スマホの設定などで撮影日時がわかるようにしておくと、より確実です。

これは法律で決まった義務ではありませんが、自分たちの生活を守るための有効な「自衛策」です。 万が一の時は、まずはスマホで記録を残す。覚えておいて損はありません。

まとめ 災害のときの固定資産税

今回は、最近の地震をきっかけに、災害時の固定資産税の基本的なルールについて解説しました。

「減免」や「特例」といった制度は、被災された方の生活を守るために法律(地方税法)や条例で定められています。 もし万が一、自分たちが当事者になったとしても、日本の税制にはこうしたセーフティネットがあることを知っておくだけで、少しだけ心の余裕が生まれるのではないでしょうか。

被災された地域の一日も早い復旧をお祈りしつつ、私たちも日頃の備えを見直していきたいですね。


参考元

東京都主税局

(書籍)固定資産税実務提要

(書籍)令和6年度版 要説固定資産税 固定資産税務研究会 編

地方税法 第367条(固定資産税の減免)

地方税法 第359条(固定資産税の賦課期日:1月1日)

地方税法 第349条の3の3(被災住宅用地等に対する固定資産税の課税標準の特例)

東京都主税局、八戸市等の公式ウェブサイト(制度運用の実例として)

Q&A 災害のときの固定資産税

災害が起きた直後、役所の税務課では何をしているの?

災害発生直後、税務課では被害情報の収集と整理を行い、罹災(りさい)証明書を円滑に発行するための準備を進めています。同時に、被害状況に応じて固定資産税などの「減免」が可能かどうか、条例に基づく検討も行われています。

地震で家が被災した場合、今年払う固定資産税はどうなるの?

今年度分の固定資産税については、地方税法第367条に基づき、市町村が条例で定めた条件により「減免」される可能性があります。ただし、減免の対象や申請期限、適用される納期は自治体ごとに異なり、自動的に安くなるわけではありません。必ず自治体の案内を確認しましょう。

来年度の固定資産税は、いつの状態で決まるの?

来年度分の固定資産税は、地方税法第359条で定められた「賦課期日」である1月1日時点の建物や土地の状態によって決まります。災害で家が壊れ、1月1日時点でも修理が終わっていない場合は、その現況に基づいて評価され、税額が下がる可能性があります。

被災して家を解体すると、土地の税金は上がってしまうの?

平常時は家を解体して更地にすると土地の税金は上がりますが、災害時には「被災住宅用地の特例」(地方税法第349条の3の3)が適用されます。一定期間は住宅が建っているものとみなされ、土地の税負担が急激に増えないよう配慮されています。ただし、申告が必要な自治体もあります。

災害後、税金の手続きで役立つ備えはある?

もっとも重要なのは、片付け前に被害状況を写真で記録しておくことです。建物全体や被害箇所のアップ、撮影日がわかる形で残しておくと、罹災証明書の申請や税金の減免、保険請求の際に大きな助けになります。

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